役立つ知識2 台車を押す力 始動抵抗、走行抵抗について
台車を押す力について 始動抵抗、走行抵抗
はじめに、台車を押す力については、車輪材質から考えた1例です。あくまでも考え方です。
※実際の押す力に関しては、車輪材質だけでなく、台車本体の自重、台車の強度、キャスターの許容荷重、キャスターの材質、路面状況、押す人の力量など様々な要因で決定されます。
実際の台車を用いて検証される場合は、各県にございます工業試験場での測定をお願いしております。
よくあるお問合せより
Q:積載荷重600kgの手押し運搬車が欲しい
A:人力(1人)で操作することは実用的に無理です。 大まかな可否の判断として、手押しで運搬車を押し引きする場合、最大荷重の目安として軽四自動車(約800kg)を押すことを想定するとその限度が明らかです。
汎用の手押し運搬車に用いられるキャスターや車輪の外径は大きいものでもΦ250~300であり、軽四の1/2以下です。 言い換えれば軽四2台分を押すことになります。
Q:手押し運搬車の積載荷重の限度は
A:路面や車輪径、タイヤ材質によって大きく影響されますが、最も多用されている汎用キャスタΦ180~200と平均的平路面では、300kg以下をお奨めします。(最大500kg)
台車を軽く動かす方法として、始動、走行抵抗の良い車輪を選ぶことが大切です。
○条件
1 車輪の最大荷重以下で使用。
2 路面は水平・平坦であるとします。
○始動抵抗、走行抵抗について
走行抵抗算出の詳細はやや専門的になりますので、ここでは簡単な算定方法(目安)とします。
走行抵抗の算定式: F r (走行抵抗力)kgf= A×G
A : 抵抗係数 G : 車輪への荷重
始動抵抗力は、走行抵抗力より130%から150%ぐらいの力を必要とすると言われています。
Fs (始動抵抗力)kgf= (1.3~1.5) × Fr (走行抵抗力)
○走行抵抗(Fr)の考え方 (図1 参照)
1 車輪が進行する場合に床面がy状態になり、これが抵抗となります。あきらかに、y が小さいほど抵抗が少ないことになります。従って、鉄車輪のように硬度が高い車輪は地面に接する面積bが少なく(線接触に近い)、接地面が大きいゴム車輪より走行抵抗が少ないといえます。
2 いま、y を一定とすれば、これに対応する車軸にかかる走行トルク T=Fr×R は、半径R の増加に比例して T も大きくなり、走行抵抗(押す力)Fr が同じでもトルクは大となります。すなわち、より大きな負荷に対処できます。
いいかえれば、車輪半径 R を大きくすれば、同じ走行抵抗に対して、より少ない押し力で台車の操作ができます。
まとめ
1 車輪径の大きい車輪を選ぶ。
2 車輪材質は硬度が高いものが良い。
参考順位(抵抗力の低い順):
1鉄車輪 2M C ナイロン 3スーパーソリッド車輪 4ブタジェンゴム / ウレタンゴム車輪 5ゴム車輪
*最近の車輪:スーパーソリッド車輪、ブタジェンゴム車輪などは、硬度に関係なく抵抗の少ない材質です。
おすすめのキャスター
・重荷重用プレスキャスターⅡ・コイルスプリングキャスター SST車輪モデル
このページで紹介されている車輪
・ゴム車輪、ウレタン車輪、MCナイロン車輪